認知症検査

画像検査の中でも特にMRIによる形体診断においては、変性疾患による認知症疾患・脳血管性認知症・水頭症・慢性硬膜下血腫・脳腫瘍などを識別することが主な目的である。大脳萎縮・大脳白質病変・微小脳出血・側頭葉の萎縮などそれぞれの病状に併せて必要な検査を行う。アルツハイマー初期の場合は側頭葉の萎縮が目立たないという性質を持っている為VSRADという側頭葉萎縮を調べる検査の測定のみで断定するには判断材料不足ということになる。
続いて、実際にあった異常所見があった時の例をご紹介しようと思う。
まずは水頭症が発見された患者さんの話。76歳の男性のAさん。自覚症状は少しあるようで、軽い物忘れを訴えている方であり、MMSE検査では23/30点、診察上では歩行速度がやや遅いという印象も見受けられた。MRI検査では、脳室の明瞭な拡大が認められ、正常圧水頭症の疑いがみられた。その後脳神経外科に紹介し、精密な検査を行った結果、正常圧水頭症と診断確定がなされた。シャント手術にて症状の改善が認められている。
そしてもうひと方、71歳の女性Bさんである。MMSEでは22/30点と軽度の低下がみられ、頭部MRIでは軽度の大脳萎縮が確認されたのみであった。健診を受診した際に、活動性低下・下腿の浮腫みを訴えていらっしゃる方で、甲状腺肥大ではなかったのだが、より精密な検査を行う事となった。甲状腺機能検査として採血などを追加した結果、TSH高値・FT4低値といった異常所見が認められ、甲状腺機能低下症の疑いがあるとして、かかりつけ医への情報提供・診断確定・治療へと努めることになった。
近年の研究より、アルツハイマー病の自然歴として、発病の15~20年前から病的変化が脳内で既に始まっていると分かった。時間をかけて徐々に進行するという事だ。つまり、早期にアルツハイマー病発症候補者を特定することが出来れば、自然歴を遅らせることも出来るということになり、発病予防が出来る猶予が存在するという事だ。今後求められていくのは、この発病に至るまでの期間でどのようなリスク因子が関連しているのか更に追及する点と、いかに予防していくかという点であるだろう。

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